「夫婦別姓」とは、夫婦が別の名字を名乗ることなのですが、そのメリットとデメリットについて考えてみましょう。
明治31年(いったい何年前?)に定められた民法第750条に「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏(名字)を称する」とあります。
国際結婚の場合を除いて、日本では今のところ夫婦別姓は認められていません。
結婚したら、夫か妻のどちらかの姓を選んで夫婦で同じ姓を名乗ることになっているのです。
日本には戸籍制度があることも影響しているようで、夫婦同姓、夫婦別姓を選べる制度の審議もされているようですが、民法改正にはまだまだ課題があるようです。
現在の日本で夫婦別姓を選ぶとしたら、方法は3つ。
(1)事実婚(内縁関係)を選ぶ
事実婚は、特別な手続きが不要で、どちらの姓を名乗るかの選択も要りません。
しかし、社会的な信用を得ることが難しく、配偶者としての義務や権利も認められません。
子どもがいる場合、非嫡出子になりトラブルが起きる可能性も出てきますし、親権もどちらかの単独になります。ちなみに、2013年12月に法改正があり、嫡出子(チャクシュツシ=法律上の夫婦の間の子)と非嫡出子の法定相続分が同じになり、相続的な違いはなくなりました。
(2)結婚しても旧姓の通称を使う
正式には夫婦なので同姓だが、仕事の際などには旧姓で通すケースです。
特に女性に多いケースですが、配偶者としての待遇を受けることができますし、名前を使い分けることができるというメリットがあります。
本名と通称が存在することで、混乱を招く場合があること、通称は証明や免許など正式な場面では使えないので不便なこともあります。
(3)一旦入籍して姓を変えて、子どもの手続きなどが済んだ後に離婚する
事実婚など、法的に夫婦でない関係の子どもは、認知届によって、事実婚であっても、父親の存在が法的に証明はできますが、一旦婚姻しないと子どもが非摘出子の扱いになります。
非嫡出子の扱いを避けるために、出産時だけ入籍して、その後離婚するというケースもあります。
次に、夫婦別姓を選んだ場合のメリットとデメリットを考えてみましょう。
夫婦別姓のメリット
①わずらわしい手続きが要らない
籍を入れて名字が変わることで、戸籍、銀行関係、クレジットカード、パスポート、免許、保険、印鑑などの変更手続きが必要になりますが、名字が変わらなければこれらの手続きも簡単に済んだり、要らない場合もあります。
②男女間の不平等感がなくなる
結婚することで、多くの場合は女性が男性の名字に変わります。
夫婦別姓を選ぶことで、女性は長年親しんできた自身の名字が変わるという喪失感を防ぐことができます。
③女性の仕事に影響が少ない
女性の社会進出が進む中、結婚により名字が変わることなく慣れ親しんだ名字のまま仕事を続けられることで、さまざまな障害を避けることができ、会社で働き続けやすくなります。
④個人情報の保護ができる
名字が変わったことで、結婚したことや離婚したことが容易に判断できますが、名字が変わらなければプライバシーを守りやすくなります。
夫婦別姓のデメリット
①配偶者の優遇措置が受けられない
税金面では、配偶者控除を受けられない、給与面では、扶養家族の手当てが受けられない、子どもは非嫡出子の扱いになります。
②子どもへの影響が心配
子どもの名字の選択が必要になり、家族の名字がバラバラというケースも考えられるため混乱しがちで、子どもへの影響が問題になる可能性もあります。
③家族の一体感が弱まる
妻が夫の名字を名乗ることで、夫は妻を守るという責任感が湧き、妻は精神的に安心感を抱くことができますが、別姓を選ぶことで夫婦の絆が弱くなることも考えられます。
④離婚が増えるかも
女性も名字が変わらないことで既婚か未婚かわかりにくく、結婚しているという意識も薄れるので、不倫しやすくなることが考えられます。
離婚しても名字が変わらないので、離婚のハードルが低くなります。
他にも、事実婚の場合は、手術などの際の家族としてのサインができなかったり、夫婦であるという証明が必要なときに不便だというデメリットもあります。
いかがですか?
この先も、夫婦別姓法案の行方から目が離せませんね。
仕事の上では特に、途中で名字が変わることで不便なことが多かったり、手続きが大変だったりするので、夫婦別姓が法的に認められることを望んでいる女性も多くいると思います。
今は、結婚しても仕事上では旧姓の通称で通しているケースも多いですね。
夫婦別姓のメリットやデメリットを理解したうえで、自身の考えに合った方法を選んでくださいね。
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