夫源病

「夫源病」とは、夫が原因で妻の心や体が不調になる病気です。

医学的な病名ではなく、大阪樟蔭女子大学の石蔵文信教授が、男性更年期外来で中高年の夫婦の患者さんを診察する中で気付き命名したそうで、いわゆる造語なんですね。

夫源病に悩む妻は、夫の何気ない言動に対して不満や、一緒に暮らしている夫の存在そのものに強いストレスに感じています。

このことが原因で、妻の自律神経やホルモンのバランスが崩れ、頭痛や不眠、めまいや動悸、うつなどの症状が現れるのです。

これらの原因として考えられるのが、次のようなことです。

  • 夫が定年退職して毎日行く所もなく、家の中でゴロゴロして過ごしている
  • 妻に命令したり、過度に妻に依存している
  • 妻が友人と出かける時にも、ついて来る
  • 妻の行動を制限したりする

以上のようなことで、妻のストレスが溜まり、夫源病の原因になることも多いのです。

夫源病は、50歳前後に起こりやすい「更年期障害」にも症状が似ていますが、若い世代や60代の女性にも多く見られ、夫やパートナーを持つ女性なら誰でも夫源病にかかる可能性があるようです。

では、どのような夫だと、妻が夫源病になりやすいのでしょうか。

夫源病を招く妻のストレスの原因となる夫のタイプについて、私の師匠である夫婦問題の専門家、岡野あつこさんがチェック項目を挙げてくれています。

是非、参考にしてみてください。

  • 夫は、夫の母親から大切に育てられた
  • 夫は、亭主関白タイプで、上から目線の発言も多い
  • 夫は、家事や育児は「妻の仕事」だと思い込んでいる
  • 夫は、自分の稼ぎで一家を養ってきたと思い込んでいる
  • 夫は、自分が悪くても謝ろうとしない
  • 夫は、妻にねぎらいや感謝の言葉をかけることはない
  • 夫には、友達がいない
  • 夫は、時間の使い方が自分勝手で妻の予定をくつがえす
  • 夫は、「外ヅラ」がよく、謙遜や冗談のつもりで妻を悪く言う
  • 夫は、妻の行動を制限したり、いちいちチェックしたりする

あてはまる項目が多い夫ほど、妻がストレスを感じる可能性は高く、夫源病予備軍であると言えます。

いわゆる良妻賢母タイプの妻は、「夫に従うのは妻なんだから当然」「この程度のことは我慢しないと…」と、夫に不満があっても無意識に否定して、知らず知らずのうちにストレスをため込んでいるのです。

次のような状況が当てはまる妻は、夫源病の可能性もあります。

  • 急に夫に怒鳴られ、強い動悸が起き、唾が飲み込みにくくなる
  • 常にめまいに悩まされていたが、夫の長い出張で治まった
  • 夫の帰宅時間が近づいたり休日になると、イライラしたり頭痛に襲われる
  • 夫からの身勝手な言動で、吐き気や胃痛が起きる
  • 夫が不在や、夫の態度や言動次第で、気分が落ち込んだり晴れたりする

いかがでしょうか。

このことから、妻のストレスの根源になっているのが夫だということがわかりますね。

では、実際に夫源病が疑われる場合、どのように対処すればいいのでしょう。

①夫に話す

まずは、自分の体の不調の原因が夫にあること、そして、それを解消するために夫に理解してもらい協力してもらえるように、夫と話ができるといいですね。

夫としては、妻の不調が自分の言動や態度のせいだと受け入れたくないでしょうから、素直に理解してくれないことも予想できますが、話してみることです。

②自分でできる対策を考える

自分でできる対策として、夫の世話をやき過ぎないようにしたり、一人で外出したりと、夫と離れる時間を持ったり距離を持つことで症状が改善されることもあります。

③ストレス発散の方法を試す

自らストレスを発散できるような方法も考えてみましょう。

誰かに愚痴を聞いてもらう、思いっきり泣く、外出や買い物に行く、趣味の習い事などに通うなど、気分が上がりストレス発散になることを心がけて行うこともお勧めします。

④夫との関係性を見直す

夫も妻と仲良くしたいと思っているかもしれません。

難しいかもしれませんが、例えば、夫と一緒に映画を観に行く、外食する、共通の趣味を持つなど、一緒に非日常の時間を持つことも気分転換になる可能性もあります。

⑤喧嘩を恐れすぎない

自分の言いたいことを夫に言わずに飲み込んでばかりいると、ストレスが溜まる一方です。

夫婦の会話がほとんどないような状況より、ちょっとした喧嘩でも夫婦のコミュニケーションにもなります。

夫に自分の要求を伝えることから始めてみましょう。

⑥少し離れてみる

夫に自分の考えも話せない、顔を合わせるのも嫌というような場合、話し合いする気にもなりませんね。

このような場合は、夫から少し離れてみるという考え方もあります。

プチ旅行や帰省、頼れる所や行く所があればプチ別居などもいいかもしれません。

お互いに少し離れることで冷静になれたり、夫も妻の有難みがわかったり、夫の態度や気持ちが変わることも考えられます。

夫婦の関係性を変えて、夫婦関係の再構築を図ることにも繋がるでしょう。

⑦離婚も考える

今まで夫に従ってきたことで、夫は妻に対して「何でも言うことを聞く従順な女」と考えているのだと思います。

話し合いも上手く進まない場合、「離婚も視野に入れて考えている」というように話をすることで、夫もことの重大さに気付き、真剣に向き合ってくれるというケースもあります。

それでも夫が変わらないようなら、真剣に離婚を検討してもいいのではないでしょうか。

いかがですか?

我慢強くて頑張り屋さん、あまり怒ったり泣いたりしない、反論できない、努力家で愛情深い、こんな女性は特にストレスを抱え込んでしまいがちです。

普段から不満を溜め込まないで、素直に気持ちをぶつけられるように心がけて、夫源病を予防していきましょう。

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