「夫と同じお墓に入りたくない」と考えている妻が増えています。
ひと昔前は、「夫の先祖代々の墓に入るのが妻として当然」という考え方でしたし、もしそれが嫌でも入る墓に対する選択肢はありませんでした。
慣習として「妻は夫と同じ墓に入る」と考えますが、それは法律で決められていることではないのです。
今でも基本的に妻は嫁ぎ先のお墓に入ることに変わりはありませんが、最近では「終活」という考え方が普及し、供養やお墓に対する選択肢もずいぶん増えてきました。
その結果、女性の中には、さまざまな理由で「夫と同じお墓に入りたくない」と考える人が多くなってきたのです。
ここに、「夫と同じお墓に入りたくない」という主な理由を挙げてみます。
- 会ったこともない夫の先祖と同じ墓に入るのは嫌
- お墓が縁のない遠い場所にあるから
- 姑や夫の親族が嫌いなので死んでまで関わりたくない
- 子どもに面倒をかけたくないのでお墓に入る気持ちがない
- 自分の親のお墓に入りたい
- 夫が嫌いなので同じお墓は嫌
これらの理由で、妻は「夫と同じお墓に入りたくない」と考えるのですね。
では、夫と同じお墓に入らないとしたら、他にどのような方法があるのでしょうか。
夫と同じお墓に入りたくない場合に考えられる他の方法をご紹介します。
①自分の実家のお墓に入る
夫は夫の実家のお墓に、妻は自分の実家のお墓にそれぞれ入るという考え方です。特に妻が一人娘だった場合など、両親の後を継ぐという考え方で「自分の両親と同じ墓に入りたい」と思うことがあります。
②新しく自分の個人墓を建てる
この場合は、「自分1人だけのお墓」なのか、「子供も一緒に入るお墓」なのか、「お墓の数が増えることで子供たちの負担が増えないか」などを十分に考える必要があります。
「合葬墓や共同墓」なども検討するといいでしょう。
③分骨する
夫と同じお墓に入ることが避けられない場合、分骨するという方法があります。遺骨を夫の実家のお墓と自分の好きなお墓に分けて入れる方法です。
④両家墓に入る
ひとり娘が結婚して、籍が別になった場合など、2つの家族が1つのお墓に入るという考え方です。1つの墓に両家の名前を刻み納骨をするという方法と、お墓が広い区画の場合は同じ区画に2つのお墓を建てるという方法もあります。
⑤「墓友」と一緒のお墓に入る
お墓に関して同じ感覚を持つ者同士が共同でお墓を購入したり、死んだ後に同じお墓に入ることを約束します。
入っている老人ホーム内で募るケースもあり、永代供養にすることが多いようです。
⑥合祀墓(ごうしぼ)
ひとつの場所に他の人の遺骨と一緒に埋葬し供養されます。費用が安く済むという利点がありますが、後で遺骨を取り出すことはできません。
⑦納骨堂
寺院などに遺骨のまま保管するスペースです。屋内の施設が多く、天気に関係なくお墓参りができます。
交通の便が良いところも多く、墓石が要らないということもメリットです。納骨堂の方式には、仏壇式、ロッカー式、遺骨がコンピューター制御で運ばれてくる機械式などがあります。
決められた期間満了後は合祀墓として供養されます。
⑧ 樹木葬
墓地として許可を得た場所で、樹木を墓石の代わりとし遺骨を土に埋める埋葬方法です。
遺骨を埋葬する度に苗木を1本植えるケースや、シンボルとなる樹木の周辺区画に遺骨を埋葬するケースなど様々な方法があります。
⑨散骨
火葬後の遺骨を粉末状にし、海・空や山などの自然の中や、大気圏や宇宙などに遺灰を撒く方法です。
⑩手元供養
自宅供養ともいい、遺骨をそのまま又は粉骨化し、自宅に保管して供養する方法です。
亡くなった人をいつも身近に感じることができ、費用を抑えることもできます。
専用の容器に遺骨の一部を入れて手元に置いたり、遺骨の一部をアクセサリーなどに加工して身に付けて供養するケースもあります。
以上、夫と同じお墓に入りたくない場合の10の方法をご紹介しました。
(⑥~⑩については、お墓以外の供養方法です)
最近では少子高齢化が進んで、亡くなる人が増えるのにお墓を世話する人が減っていくという傾向にあります。
子どもがいない、跡継ぎがいない、将来自分の子どもや孫にお墓のことで迷惑をかけたくない、結婚していないなどという理由や考えで「永代供養」を希望する人も増えています。
“永代供養”とは、お寺や霊園が親族の代わりに定期的に故人の供養やお墓の管理をしてくれるという供養方法です。
“永代”といっても「10回忌・30回忌・50回忌まで」などの内規があったり、お墓を継承する子孫が檀家を辞めた場合は、永代供養の契約が破棄されるということもあるようです。
“永代供養”といっても”永代”が保証されている訳ではないのですね。
例えば、自分では散骨を望んでいたとしても、いざというときに親族から反対意見が出るようなケースもあります。
お墓について希望や考えがある場合は、特に子どもや夫に自身の考えを話し、意見を聞いておくなどの配慮が必要です。
夫婦の「終活」の一環として、お互いのお墓のことを考えておくことも大切ですね。