結婚してから、一度も夫婦喧嘩をしたことがない夫婦はかなり少数です。

結婚式の打ち合わせから、意見が合わずに喧嘩になったという話も聞きます。

夫婦喧嘩って、夫婦にとって一種のコミュニケーションのようなものになっているケースもあるのではないでしょうか。

しかし、子どもがいる場合には、あまり呑気に考えてはいられません。

夫婦喧嘩が子供にさまざまな影響を及ぼすからです。では、夫婦喧嘩がどのように子どもに影響を及ぼすのか考えてみましょう。

①自己肯定感を育めず、自己否定が強くなる

自己肯定感とは、自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味します(出典:実用日本語表現辞典)。

両親が喧嘩していると、「パパとママは自分が悪い子だから喧嘩している」と感じ、「自分は必要ない人間なんだ」と思ってしまいます。

自己肯定感が低い子どもは、自分に自信がない、委縮してしまう、やる気が出ない、また、自暴自棄になりやすく、リストカットや自殺に至ることもあります。

②アダルトチルドレンになる

アダルトチルドレンとは、「機能不全家庭で育ったことにより、成人してもなおトラウマを持つ」という考え方や現象、または人のことを指します。

人間関係の構築が苦手だったり、完璧主義者や破滅的な考え方などになりやすいという特徴があります。

他にも、感情を表現しづらく、人とコミュニケーションをとるのが苦手、さびしがる、被害妄想などに陥りやすい、うつ病やパニック障害などの精神病にかかりやすくなります。大人になっても「生きづらさ」を感じているケースが多いのも特徴です。

③PTSDなどの精神疾患になりやすい

PTSDとは、”心的外傷後ストレス障害”といい、命の安全が脅かされるような出来事によって強い精神的衝撃を受けることが原因で、著しい苦痛や生活機能の障害をもたらしているストレス障害のことです。

両親の夫婦喧嘩の影響を受けたことで、精神的に不安定になり、不安や不眠、フラッシュバック、また、トラウマの原因になった障害や関連する事物に対しての回避傾向がみられます。

過度なストレスや緊張状態になると、頭痛や腹痛・嘔吐、登校拒否やひきこもり、自傷行為、ヒステリーやパニック症状が現われたりします。また、拒食症や過食症などの摂食障害が起こることもあります。

④子どもの身体的・精神的な成長を妨げる

子どもは、両親の喧嘩によって精神状態が不安定になり、眠れなくなったりすることがあります。

睡眠中に分泌される”成長ホルモン”が子供の成長に大きく関わるため、子どもにとって睡眠はとても重要です。

成長ホルモンが分泌されないと、身長が伸びない、無気力、病気への抵抗力や免疫力が下がる、脂肪が増加し太りやすいなどの悪影響があるのです。更に、精神的にも、心を閉ざす、無表情になる、摂食障害などがみられます。

⑤乱暴な大人になってしまう

夫婦が頻繁に喧嘩をしているような場合、自衛本能が働いたり、子どもの心の拠りどころがなくなったりします。

その結果、ちょっとしたことで怒ったりキレたり、ヒステリーを起こしたり、暴れたりするようになり、乱暴な子どもになってしまいます。

夫婦の喧嘩で暴力が日常になっている場合には、子どもが友だちに暴力を繰り返すこともありますし、大人になってからもDVなどの暴力の加害者として悩むことも考えられます。

⑥恋愛や結婚に夢が持てなくなる

夫婦喧嘩ばかりしている両親の姿を見て育っている子どもが、結婚や家庭を持つこと、異性と恋愛することに対して、希望を持つことができるでしょうか。

子どもが、恋愛や結婚に対して否定的な考え方になることも頷けます。恋愛や結婚をしたとしても、同じように喧嘩が絶えない夫婦やカップルになることが心配です。

⑦子どもの心を強くする夫婦喧嘩もある

同じ夫婦喧嘩でも、お互いの考え方の違いをぶつけて、わかり合おうとしての喧嘩や、喧嘩してもスッキリ仲直りして、夫婦が仲良しになる様子を子どもに見せることは、決して悪いことではありません。

「喧嘩しても仲直りすればいいんだ」と、仲直りのやり方を学べたり、「考え方が違っていても大丈夫、自分の気持ちを我慢せずに表現してもいいんだ」ということや、相手の意見を聞く姿勢も学ぶことができます。その結果、強い心を持ち、人を信じることのできる子どもに育っていくのです。

いかがですか。

全ての夫婦喧嘩が悪いわけではありません。

大切なのは、子どもの前で、子どもが恐怖や不安・失望などを感じるような夫婦喧嘩は絶対に避ける、見せない努力をするということなのです。

喧嘩しないに越したことはありませんが、もし子どもに夫婦喧嘩を見られてしまった場合には、「あなたのせいではない」と、しっかりフォローすることが重要です。

もしも、子どもに見られていても大丈夫なように、上手に夫婦喧嘩することを心がけましょう。上手に夫婦喧嘩をするために、注意することを挙げておきます。

  • ただ相手を責め立てるような、言い争いにしない
  • 夫婦の喧嘩は、夫婦間の考えを理解するためであって、勝ち負けを考えない
  • 喧嘩の原因より、どう解決するかが大切、過去のことより未来のことを考える
  • 他の内容や、過去の過ちのことなどに話が飛ばないように
  • 互いの考えや思いをわかり合うための喧嘩なので、結論は出さなくていい
  • 怒ってその場から立ち去ったりしない
  • 話が堂々巡りになってしまったら、とりあえず喧嘩を中止する
  • 翌日に持ち越さず、その日のうちに仲直りする、仲直りのルールを決めておく

これらのことに注意しながら、上手な夫婦喧嘩をしていけるといいですね。

夫婦喧嘩は、夫婦の生活の質を少しでも高めていくために、お互いの意見を主張し合うためのひとつの手段です。

同じ夫婦喧嘩でも”子育てのことや、子どもに関することでの意見のぶつけ合い”はいいのですが、子どもに関係のない”浮気や借金、嫁姑問題などについて”の喧嘩は、子どもの前でしないようにしましょう。

夫婦喧嘩が及ぼす子どもへの影響もとても心配で、深刻な問題ですね。

普段から、できるだけ夫婦喧嘩にならないように、お互いに気遣いや思いやりを持って生活できることが望ましいと思います。

もし喧嘩になってしまったら、こじれないうちにあなたから「ごめんね」と謝ってしまいましょう。

子どもを健全に育てていくために夫婦で協力して、悲しみも怒りもあるけれど、楽しいことや喜びにあふれる家庭を築いていきましょう。

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