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私ごとですが、実は私は平成19年5月に熟年離婚の経験があります。

サラリーマンと結婚して23年のあいだ、専業主婦と6年ほどの(夫の扶養範囲内の)パート勤務でした。

結婚前の数年の会社勤務で、少しの厚生年金期間もありましたが、結婚後はずっと年金でいうところの「第3号被保険者」でした。離婚の際にいろいろ調べていたところ、ちょうど離婚1か月前の平成19年4月から「離婚時年金分割」の制度が始まることを知りました。

働けなくなってからの自分が受けられる老齢年金の額が少ないことも、だいたい想像できていました。しかも熟年離婚だった私にとって、年金問題はとても大事なことだったのです。

夫に話したら、離婚時年金分割の手続きをすることに快諾してくれました。一緒に公証人役場に行って手続きにも付き合ってもらい、公正証書にすることもできたのです。いま考えても、本当にありがたいことでした。
今回は、この「離婚時の年金分割制度」についてお話ししますね。

まず、離婚時の財産分与には、これらの4つの種類があります。

  1. 婚姻中の共有財産の清算である「清算的財産分与」
  2. 経済的弱者の配偶者に対する自立の援助である「扶養的財産分与」
  3. 離婚により発生する慰謝料の「慰謝料的財産分与」
  4. 過去の婚姻費用の清算

以前は、年金についても離婚時に「財産分与」としての扱いでしたが、平成19年4月の「年金分割制度」の施行によって、年金分割は財産分与とは別の対象として扱われるようになったようです。

サラリーマンや公務員の妻で、専業主婦の場合や夫の扶養の範囲内でパート勤務していた妻は、年金の「3号被保険者」と言います。以前は3号被保険者だった妻が離婚した場合には、主に国民年金かわずかな厚生年金しか受け取ることができませんでした。一方、サラリーマンである夫は厚生年金に加入し、相応の年金を受け取ることができ、不公平感がありました。

婚姻中に支払った保険料を夫婦共同で納めたものとみなして、平成19年4月以降に離婚が成立した場合について、夫婦が婚姻期間中に加入していた厚生年金の保険料納付記録合計の2分の1を上限に、多い方から少ない方に分割できるようになりました。

ただしこれには、夫婦の合意か裁判所の決定が必要です。

これを年金の「合意分割」と言います。

婚姻期間が平成19年4月以前からであれば、その期間も合意分割の対象に含まれます。私は、こちらの手続きをした訳です。

さらに平成20年4月以降の離婚からは、平成20年4月以降の3号被保険者であった期間について、厚生年金の保険料納付記録合計の折半が可能になりました。平成20年3月末までの分については、夫婦の合意か裁判所の決定が必要ですが、平成20年4月以降の分は、年金事務所への申請のみで分割されます。これを「3号分割」と言います。

年金分割2

年金分割の注意点

  1. 年金分割の請求手続きは、離婚した時から2年以内と決まっています。離婚手続きと同時に手続きを済ませることをおすすめします。
  2. 離婚後、別れた夫が年金受給開始になったとしても、妻は自身が年金受給年齢に達するまで年金を受け取ることはできません。
  3. 夫がサラリーマンであっても、共働きで妻も働いている場合は「3号分割」の利用はできず、離婚の場合は「合意分割」制度の適用になります。

いかがですか?

ちょっとわかりにくいでしょうか。

離婚に際しての財産分与は複雑なものが多いため、よく調べて取り組み、場合によっては年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談することも考えてください。

特に熟年離婚の場合には、年金受給までの期間が迫っていることもあります。

手続きの有無によって受け取れる年金額も大きく変わってきますので、慎重に手続きを進めて、できるだけ有利に離婚しましょう。

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