大きい夫婦喧嘩の後や、相手の不倫が発覚した時など、頭に「離婚」がよぎり、ふと「貯金」という言葉が浮かぶことがあるのではないでしょうか。
「そういえば、うちって貯金いくらあったかな」
「離婚を切りだす前に、家の貯金を自分名義に替えておこうかな」
「子どもの名義の貯金、どのくらい貯まっていたかな」
離婚にお金の問題は切っても切り離せないものですね。
ここでは離婚に関わる貯金について、いくつかの疑問にお答えしていきます。
離婚の準備に貯金はいくら必要?
以前「離婚の準備に貯金はどのくらい必要なのか」
https://recouple.jp/rikonjunbityokin という記事を書きました。
この記事にもありますが、離婚に際して住まいをどうするのか、子どもがいるのか、子どもの年齢、自身の離婚後の仕事や収入、実家や親族で頼れるところがあるのかなどの条件によって、離婚に際して必要な貯金の額が変わってきます。
引っ越しや家具家財の調達、当座の生活費なども考えて、離婚の際に使えるお金は多いに越したことはありませんが、専業主婦の場合でも100万円位を準備できることが望ましいと思います。
貯金は自分名義にしておけば離婚しても全て自分のものになる?
貯金の名義が夫でも妻でも、夫婦が結婚後(婚姻期間中)に貯めたお金は、夫婦の共有財産ということになります。
“2人の協力のもとに貯めたお金”と考えるのですね。自分名義の貯金が全て自分のものになる訳ではないのです。
離婚の際には、”財産分与”という形で夫婦の共有財産を分けることになります。
ただし、夫や妻が、結婚前に貯めていた貯金や、親などからの贈与や相続によって受けたお金や不動産などの財産は、それぞれの固有の財産(特有財産といいます)なので、離婚の際の財産分与の対象から外れます。
余談になりますが、貯金でなくても”へそくり”として内緒でこっそり貯めたお金も、バレてしまったら財産分与の対象になってしまいます。
子ども名義の貯金は子どものものよね?
離婚の際に子ども名義の貯金があった場合、貯金の元になるお金がどこから出ているかで扱いが違ってきます。
夫婦が子供の将来のために貯めていた子ども名義の貯金は共有財産となり、離婚の際の財産分与の対象になります。
しかし、子どもが親戚などからもらったお祝いやお年玉などを貯めた貯金や、子ども自身がアルバイトなどで貯めた貯金については、子どもの固有財産になりますので、離婚時の財産分与の対象に含まれません。
また、貯金ではありませんが、夫婦で積んだ子どもの学資保険については、実務的には”解約返戻金相当額”が財産分与の対象になるようです。
親や兄弟などの名義を借りての貯金は分けなくていい?
離婚を考え始めてから、相手が親族などの名義を借りて”預金隠し”をしていることも考えられます。
離婚に向けて自身の離婚後の資金を増やすために、財産分与の対象から逃れるための”隠し財産”として、親や親族の名義を借りた貯金を始めるといった例もあります。
どちらも、貯金の資金の出どころが夫婦のお金からの場合には、共有財産となり離婚時の財産分与の対象になります。
また、相手が隠し口座に貯金を少しずつ移すということも考えられます。
普段から通帳記帳をこまめにして口座の取引履歴に興味を持つことが大切です。
最近では、通帳が存在しないネット銀行もありますので、隠し口座も作りやすくなり、隠されたら把握することが難しい状況になりました。
株式や将来の退職金はどうなの?
貯金ではありませんが、有価証券や株式についても貯金と同様に「婚姻期間中の収入で得たもの」については、夫婦の共有財産という考え方です。退職金については、退職金が確実に払われると判断でき、支払いが数年以内という場合には、財産分与の対象として考えられます。
いかがですか。
ここでは「貯金」という言葉を使ってきました。
一般的に、ゆうちょ銀行・農協・漁協では「貯金」、銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫などでは「預金」と表しています。
離婚に関わる貯金についていろいろ考えてきましたが、離婚の際の財産分与には「貯金」の他に「株式・国債や社債」「不動産」「車」「保険」なども対象になります。
貯金だけでなく、普段から夫婦の共有財産について興味を持ち、できるだけ把握し、貯金や預金については通帳の残高やお金の出入りを記録しておくこともおすすめします。